「よせてはかえす波間」
を、英語に訳そうと思いました。
ところが、そのまま訳せないことに気がつきました。
the waves, which is coming to the sea shore and going back again and again
「海岸にやって来て何度も戻ってゆく波」
のように訳すしかなさそうです。
これでは、「よせてはかえす」の詩的な表現が生かせませんね。
そこではじめて、日本語が、自然の描写に対して豊かであることに気がつきました。
そんな日本語を話す、日本人としての自分。
今日は、そこから自分を知ることについて、考えてみました。
Contents
【自分を知る】言葉は自分
さて、自分とは何でしょう?
それを考えるとき、言葉は避けて通れないものです。
自分には、目に見える肉体のほかに、目に見えない心というものもありますね。
では、心とは何か?
それは、意識ともいえそうです。
意識はどうやってしているのか?
それは、言葉によってです。
それも、母国語によってです。
こう考えてみると、母国語の特徴は、自分の特徴でもあると、いえそうですね。
【自分を知る】日本語の特徴から、自分を知る
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
という、有名な芭蕉の句があります。
これを英語に直訳してみると(本当に、そのまま訳しただけです)・・・
Silence...
soaking into the rock
a cicada's voice
外国の方がこれを読んでも、きっと意味不明でしょうね。
なぜ蝉の声がしているのに、静かなのか?
でも、わたしたちは、たったこれだけの表現で、「閑さ」が伝わってきます。
蝉の声や岩に注目しているわけではありません。
それを取り巻く雄大な自然、ひいては宇宙。
また、それに耳を澄ませる心。
そちらの方に注目しています。
行間、といいますか、それを包み込むもの、間、空、というものに意識が向かいます。
そこは、あえて言葉では言わないことが多いかもしれません。
けれども、わたしたちはそれを感じている。
日本人が共有している意識、というものがあることに気がつきます。
そんな文化をバックボーンにもっていることを自覚してみる。
日本人としての自分を知る手がかりになりそうです。
【自分を知る】まとめ
今日は、日本語の特徴から、自分のことを考えてみました。
- 日本語には、自然を描写するための、美しい表現が豊富にあります。
- 日本人にとって自然は、自己の意識の広がりと重なり合うような、特有の美をもっているようですね。
そんな日本人だから、できること。
そこから、自分の役割を考えてみるのも、よいかもしれませんね。